減衰力調整式ショックアブソーバのトップナット締付時の注意点

ショックアブソーバのピストンロッドとアッパーマウントを固定するトップナットは、非常に重要な役割を果たしています。【写真1】

このナットに緩みがあると、走行中にコトコト、ゴトゴトと異音を発生したり、最悪の場合ショックアブソーバや車両が破損する危険な事態をなる可能性もあります。そのためにショックアブソーバのトップナットは、トルクレンチを用いて規定のトルクにて締め付ける必要があります。トップナットを締め付ける際、ナットをトルクレンチで回そうとすると、ショックアブソーバのピストンロッドも同時に回ってしまいます。そこでピストンロッドが回らないように、ピストンロッド上端にある切り欠き部を工具で掴み、トップナットを締め付けます。【写真2】

この時、減衰力調整式のショックアブソーバの場合、トップナットを過剰にトルクにて締め付けてしまうと、ピストンロッドを工具で掴んでいる部分に必要以上の力が加わり、ピストンロッドに若干の変形を及ぼすことがあります。万が一変形してしまった場合、ピストンロッドの中に入っている減衰力調整機構が動かなくなってしまいます。

このトラブルを未然に防ぐために、トップナットの締め付けは車両に取り付ける前に、トルクレンチを用いて規定トルクで締め付けてください。またピストンロッドを掴む工具も、適正なサイズの工具を使用しないと、変形の原因となります。また、切り欠き部をなめてしまい、ピストンロッドのネジを破損する場合もありますので、充分注意が必要です。

万が一ピストンロッドを変形させてしまい、減衰力調整が得できなくなってしまった場合は、O/Hにてピストンロッドの交換が必要となります。