現在巷に溢れている、海外製の激安車高調。
その中にはカートリッジ式と呼ばれる、
20年ほど前に流行った車高調も多く見られます。
いったい、カートリッジ式車高調とは?!
カートリッジ式車高調とは?
カートリッジという言葉を辞書で調べると、「本体に容易に着脱できる交換用の部品」と書いてあります。
なるほど、なるほど。では、カートリッジ式車高調ってどういうことでしょう?
まず「本体」というのは、車高調のシェルケースのことをさします。次に「容易に着脱できる交換用の部品」というのは、本体にスポンと入れるショックアブソーバのことをさします。
つまりカートリッジ式車高調というのは、シェルケースと中身のショックアブソーバを別々に作り、最後にシェルケースの中にショックアブソーバをスポンと入れてふたを閉めて作ります。
テインの車高調はカートリッジ式車高調なの?
いえいえ、テインの車高調は全て分解組立式と呼ばれるものです。
分解組立式?
カートリッジ式と同様「本体」のシェルケースを作るまでは一緒ですが、カートリッジ式とは違って、中身のショックアブソーバをスポンとは入れられません。
分解組立式はシェルケースの中に、直接ショックアブソーバの様々な部品を入れて組み立てていくのです。
カートリッジ式車高調のメリット・デメリットは?
カートリッジ式車高調は、30年以上前の純正部品にも採用されているほど、非常に昔からある物です。
作っておいたシェルケースに、大手のショックアブソーバメーカーから買ったカートリッジをスポンと入れれば完成なので、非常に簡単にできます。なのでもしオイル漏れを起こしても、専門的な知識や技術が無くても、中身の交換用カートリッジを入手すれば、スポンで修理が可能です。
ん?なんか便利で良さそうな気がします?いえいえ、良いことばかりではないんですよ。それではデメリットを見ていきましょう。
シェルケースの中にカートリッジ式のショックアブソーバを入れるので、中に入れるショックアブソーバは当然細く作る必要があります。
細く作る。これがクセモノです。細いショックアブソーバにはどんなことが起こっているでしょうか?まずは、ショックアブソーバの中に入っているオイルの量が非常に少なくなってしまいます。
オイルが少ないと・・・?
オイルが少ないので、オイルの劣化時期が早いです。また発熱が早く冷却性が悪いです。それにより、安定した減衰力が長時間(期間)維持できません。またショックアブソーバが細いと、ショックアブソーバの心臓部とも言えるピストンバルブ径も小さくせざるを得ません。
ピストンバルブ径が小さいと・・・?
ピストンバルブ径が小さいことでオイルとエアが混ざってしまい、減衰力の低下を招くエアレーションを起こしやすくなります。また減衰力を発生する際、ピストンバルブが圧力を受ける面積が小さいので、ショックアブソーバがわずかな動きをする際の減衰力を細かくセッティングすることが難しいのです。実は街中ではショックアブソーバって意外とわずかな動きの連続なのです。
そこが苦手分野となると・・・。街中での乗り心地のセッティングってどうなのでしょうかね・・・?
分解組立式のメリット・デメリットは?
一方全てのテイン製品は分解組立式を採用していますが、それはカートリッジ式のデメリットを全てメリットに変えています。シェルケースの中に直接ショックアブソーバを組み立てていくため、シェルケースの中に十分な量のオイルを注入することができます。
それにより・・・
オイル容量が多いので、オイルの劣化に対して非常に有利で、また発熱やエアレーションも全く問題ありません。市販品であるTYPE FLEXが、ニュルブルクリンク24時間レースをノートラブルで走破したのはまさにその証明です。
ピストンバルブのサイズも非常に大きくできます。そのためショックアブソーバの微細な動きに対しても確実に減衰力を発生してコントロールできるので、街中での乗り心地も非常に良くすることが可能です。
カートリッジ式車高調と分解組立式車高調の違いはそれだけ?
車高調ならではの違いもありますよ・・・。
中身にスポンと入れるカートリッジのショックアブソーバ。これは純正のショックアブソーバを製造するような大手メーカーで製造する場合がほとんどです。そのため、カートリッジのショックアブソーバは、短いものから長いものまであらかじめ何サイズかの寸法で用意されていて、中身のショックの長さに合わせてシェルケースの寸法を設計することが大半です。
ん?ということは・・・?
そうです。車のショックアブソーバなんて車種によってこと細かに違うのに、カートリッジ式車高調の場合、用意されているカートリッジの長さに合わせて設計するしかないので、車種別にきめ細かな設計をしようとしても、使うカートリッジの長さに種類があるため、「もっとも近いもの」を選んで車高調を作るのです。
また長さだけではなく減衰力においても同様です。壊さない限り分解することができないカートリッジのショックアブソーバは、自由に減衰力仕様を変更してセッティングを変えるということができません。寸法だけではなくセッティングにも大きな制約があるのです。
その点分解組立式のテイン製品は・・・
カートリッジの長さのように変な制約があるわけではないので、どんな車種でも一切の妥協無く、その車種専用にミリ単位までこだわって自社開発できるのです。
また減衰力セッティングにおいても、ベストなセッティングが出るまで何度でもテスト走行を繰り返して、最高の乗り心地や操縦性に仕上げることができるのです。
テイン製品は、Made in 横浜
最近巷にあふれる激安車高調。主に台湾、中国、韓国の海外製で、カートリッジ式が大半を占めています。オーバーホール(単なるカートリッジ交換)が早いなどの利点もアピールされていますが、やはり安いモノにはそれなりに理由があるものなんですね。
最後に質問!テインの分解組立式にはデメリットはないのですか?
そうですね。1車種1車種ジックリと車種別専用設計を施し、1セット1セット自社工場で丹念に組み立てるMade in 横浜なので、海外製の激安製品に比べて少々お値段が高いことでしょうか・・・。それでもその分お客様にご安心してご使用頂けるよう、またそれもメリットに変えていけるよう、私たちはこれからも頑張ります!