HYBRID WAGON DAMPERに関する質問事項について、自動車検査独立行政法人本部 業務部業務課より、正式回答を頂いております。
以下に原文を掲載させて頂きます。
この内容につきましては、自動車検査独立行政法人の各検査部、事務所あてにも同じ内容の回答書が、自動車検査独立行政法人本部業務部業務課より送られております。
【装置説明】
- I.装置概要
- 調整装置を大きく分けると、油圧ポンプユニット、油圧シリンダ、コントローラから構成される。
- 現状指定部品として扱われている通称「車高調(コイルスプリングとショック・アブソーバにスプリングシート位置の調整ネジ部を有したもの)」に油圧車高調整装置を直列に備えており、この部分の油圧を調整することにより伸縮させる。
- 伸縮ストロークは50mm、伸縮速度は10mm/secで急激な車両姿勢変化とならない構造としている。
- II.調整・操作の範囲
- 車高調整は、前左右・後左右の組み合わせで前・後の調整が可能。左右の調整はできない。
- 車高調整操作は、車両停止状態でなければ行えない構造であるが、調整後の姿勢のまま走行が可能。
- III.保安基準適合性
- 全ての調整範囲で前照灯光軸が基準に適合するよう、前下がり、後ろ下がり姿勢は、前後のストローク差が1cm以上となる組み合わせができないプログラムとしている。
- 最低地上高に配慮し、車高を最低位置に調整した場合や、万が一、油圧漏れにより下降した場合でも最低地上高9cmを確保するよう取付ける。
- サイドスリップ量が全ての調整範囲で基準内となるよう、伸縮ストロークを設計している。
- 全ての調整範囲でタイヤ、フェンダー、サスペンションアーム等が干渉しないことを実車装着により検討している。
- 保安基準適合性は、正しい取付け、調整が前提であるためリフト、アライメントテスター等の設備条件の他、当社教育を受けた店舗のみの販売。顧客データは㈱テインで管理し、もしもの場合のリコール処置にも対応できるようにしている。
- 【質問事項】
- 型式指定自動車で車高調整が可能なものと同様、任意の位置で走行可能な装置であることから様々な検討を重ねてまいりましたが、装着時の適合性以前に当社提出の資料から現状明らかに不適合なものはありますか。
- ハイドロのような急激な車両姿勢変化を伴わない装置であり、標準の緩衝装置との交換で取付けることから改造自動車の届出に該当しないものとしてよいか。
- 【回答】
- 1.適合性審査について
- 当該装置を装着した場合、走行可能な全ての車両姿勢において保安基準に適合することを要します。 概要書の内容から判断する限り、取付、調整が適切に行われていれば、明確に不適合と判断するものはありませんが、適合性の判断は、提示された個々の自動車の状態で行います。 なお、当該装置の取付の不備により前照灯などが不適合となった場合、これを適合させるために当該装置の一部を取り外し単に作動しないようにすることで任意の位置に車両姿勢を固定されることが予想されますが、その状態は当該装置が正常に機能している状態ではないことから、安全な運行を確保できないものとして審査事務規程4-17-1(緩衝装置)に不適合と判断します。したがって適切な調整、交換などの整備により適合させることが必要となります。
- 規程3-3-11(長さ欄、幅欄、及び高さ欄)(1)の記載のために行う、規程4-2-1(長さ、幅及び高さ)(1)の審査に際しては、標準走行姿勢で行います。(当該装置装着車については、概要書に記載されたアライメント基準位置車高(コントローラーパネル上の電源ボタン短押しにより設定される車両姿勢)で行う。)
- 2.改造自動車の届出について
- 当該緩衝装置は、油圧車高調整装置を直列に備えているが、標準車のものと種類が同じであり装着方法も同じであることから、当該緩衝装置への変更は、改造自動車の届出の必要な範囲には該当しない。
※本件に関する質問等があった場合には、弊社またはこちらの各検査部へ問い合わせ頂くようお願い致します。